介護ホームページのSEO対策とアクセス解析に高額な費用は必要?判断するための確認ポイント
介護事業所のホームページに提案されるSEO対策とアクセス解析について、高額な費用が必要かを目的・作業内容・指標から判断するポイントを解説します。

介護事業所のホームページを制作・運用していると、「SEO対策をしないと検索に出ません」「毎月アクセス解析を行い、改善し続ける必要があります」と提案されることがあります。月額数千円の簡単な報告から、数万円以上の継続支援まで、内容も金額もさまざまです。
検索から見つけてもらう工夫も、公開後の状況を数字で確かめることも大切です。しかし、高額な契約を結べば必ず検索順位が上がり、問い合わせが増えるわけではありません。反対に、費用をかけずに一度設定しただけで、今後ずっと十分とも限りません。
判断の軸になるのは金額そのものではなく、「何を目指し、そのために誰が何をし、どの数字を見て次の行動を決めるのか」が説明されているかです。
今回は、介護事業所がSEO対策やアクセス解析の提案を受けたときに、費用の妥当性を判断するための基本を整理します。
介護事業所ホームページ改善シリーズ
第12回では、解約時の著作権とデータ引き渡しについて整理しました。第13回では、公開後に提案されやすいSEO対策とアクセス解析を取り上げ、費用をかける前に確認したい内容を解説します。
まず「SEO対策」と「アクセス解析」を分けて考える
この2つは一緒に提案されることがありますが、役割は異なります。
- SEO対策:検索結果から、必要な人にページを見つけてもらいやすくする取り組み
- アクセス解析:ホームページがどのように見られているかを数字で確認する取り組み
SEO対策には、ページのタイトルや見出しを分かりやすくする、事業所のサービス・対象地域・利用条件を充実させる、スマートフォンで読みやすくする、検索エンジンがページを理解しやすい構造にする、といった作業が含まれます。
アクセス解析では、閲覧数、訪問者の流入元、よく見られているページ、検索時に使われた言葉などを確認します。数字を見ること自体が目的ではなく、情報の追加や導線の見直しにつなげるための材料です。
つまり、**SEOは「見つけてもらうための整備」、アクセス解析は「整備した結果を確かめる方法」**と考えると整理しやすくなります。
SEO対策に「これをすれば必ず1位」はない
GoogleのSEOスターターガイドでは、検索エンジンがコンテンツを理解しやすくし、利用者が検索を通じてサイトを見つけやすくするための基本が案内されています。一方で、変更を加えても検索結果への効果が保証されるわけではなく、反映に時間がかかる場合もあると説明されています。
検索順位は、検索する言葉、地域、端末、情報の内容、競合するページなど、複数の要素によって変わります。そのため、次のような説明には注意が必要です。
- 「契約すれば必ず検索順位が1位になる」
- 「Googleと特別な関係があるので上位表示できる」
- 「検索順位を上げる方法は企業秘密なので、作業内容は伝えられない」
- 「大量のページやリンクを短期間で増やせばよい」
大切なのは順位だけではありません。「介護」「デイサービス」のような広い言葉で多く表示されても、事業所の対象地域やサービスを探している人につながらなければ、実際の成果には結びつきにくくなります。
介護事業所の場合は、まず次のような基本情報を、正確かつ探しやすい形で掲載することが土台になります。
- サービス種別と対象者
- 所在地、対応地域、営業時間
- 利用までの流れと相談方法
- 空き状況や受け入れ条件の案内方法
- 料金、加算、重要事項など確認に必要な情報
- 事業所名・住所・電話番号の表記の統一
これらが不足したまま、検索順位だけを追いかけても、閲覧者が判断するための情報は増えません。
無料で確認できる2つの代表的な道具
Googleには、ホームページの状況を確認するための代表的なサービスがあります。利用そのものは無料ですが、導入設定、同意管理、分析、改善作業を外部へ依頼する場合は費用が発生します。
Google Search Console:検索される前後を確認する
Search Consoleでは、主にGoogle検索上での状況を確認できます。
- どのような検索語句で表示されたか
- 検索結果に表示された回数
- 検索結果からクリックされた回数
- おおよその掲載順位
- Googleがページを認識できているか
たとえば、事業所名では表示されているものの、「地域名+サービス種別」ではほとんど表示されていないことが分かれば、対応地域やサービス内容の説明を見直す手がかりになります。
Google Analytics:サイトに来た後を確認する
Google Analyticsでは、ホームページへ来た後の閲覧状況を確認できます。
- どのページが見られているか
- 検索、SNS、他サイトなど、どこから来たか
- 複数のページをどのように移動したか
- 電話ボタンや問い合わせ完了など、設定した行動があったか
ただし、計測結果はCookieへの同意、ブラウザの制限、設定方法などの影響を受けます。実際の問い合わせ件数と解析画面の数字が完全に一致するとは限りません。アクセス解析は絶対的な人数の帳簿ではなく、変化や傾向をつかむための材料として扱うのが現実的です。
小規模な介護事業所が最初に見る数字
多機能な分析画面をすべて理解する必要はありません。最初は、ホームページの目的に関係する少数の数字に絞ります。
| 確認したいこと | 見る数字の例 | 次の行動の例 |
|---|---|---|
| 事業所を検索で見つけられるか | 事業所名・地域名・サービス名での表示回数とクリック数 | 基本情報やページタイトルを見直す |
| 必要な情報が読まれているか | サービス、料金、アクセス、採用ページなどの閲覧状況 | 見つけにくいページへの導線を追加する |
| 相談につながっているか | 電話ボタン、問い合わせ、見学予約などの件数 | ボタンの位置や案内文を改善する |
| 情報発信が届いているか | お知らせや更新記事の閲覧数、流入元 | 続けるテーマと更新頻度を見直す |
アクセス数が少ないことだけで、ホームページが失敗とは限りません。対象地域が限られる介護サービスでは、全国から大量のアクセスを集めるより、地域の利用者・家族・ケアマネジャー・求職者など、必要な人が必要な情報へたどり着けることのほうが重要です。
電話や対面相談が中心なら、「ホームページを見た」と言われた件数を簡単に記録する方法も役立ちます。解析ツールの数字と現場の反応を一緒に見ることで、実態に近い判断ができます。
費用が小さくても始められる範囲
ホームページを公開した直後や、更新できる人員が限られている事業所では、まず次の範囲から始められます。
- ページごとのタイトルと見出しを内容に合わせる
- サービス、地域、利用方法、連絡先などの基本情報を整える
- スマートフォンで表示と操作を確認する
- Search Consoleを設定し、ページが認識されているか確認する
- 必要に応じてアクセス解析を設定する
- 月1回または数か月に1回、重要な数字と問い合わせ状況を確認する
- 古い情報や不足している説明を少しずつ更新する
毎月詳細なレポートを作るより、四半期ごとに「何が見られ、何を直し、結果がどう変わったか」を確認するほうが、運用体制に合う場合もあります。
一方、複数拠点を運営している、採用を強化したい、サービスごとに集客経路を分けたい、広告と検索流入を比較したい、といった目的がある場合は、専門家による継続的な分析や改善の価値が高まります。
高額な提案が妥当になる場合
費用が高いこと自体が問題ではありません。次のような作業を継続して行うなら、相応の人員と時間が必要です。
- 利用者・家族・ケアマネジャー・求職者ごとの検索ニーズ調査
- 競合サイトや地域の検索状況の調査
- サイト構造、表示速度、技術的な問題の改善
- 取材、原稿作成、写真撮影、ページ追加
- 問い合わせなどを測るための計測設計
- 数字に基づく改善案の作成と実装
- 複数拠点・複数サービスを横断した分析
- 担当者との定例会や運用支援
重要なのは、レポートを受け取ることではなく、調査・提案・制作・修正のどこまでが料金に含まれるかです。毎月同じグラフが送られてくるだけで、改善内容が決まらないのであれば、費用の使い方を見直す余地があります。
SEO対策やアクセス解析は、難しい言葉や大量の数字で価値が決まるものではありません。事業所の目的に必要な情報を整え、数字から一つでも具体的な改善を決められることが大切です。最初は小さく計測し、必要性が見えた段階で支援範囲を広げる方法もあります。
契約前に確認したい8つの質問
SEO対策やアクセス解析を外部へ依頼するときは、次の質問を使って内容を確認しましょう。
- 「この施策で、誰にどのページを見つけてもらうことを目指しますか?」
- 「初期費用と月額費用には、それぞれ何の作業が含まれますか?」
- 「レポートの作成だけでなく、改善案の提示やページ修正も含まれますか?」
- 「検索順位以外に、どの数字を成果の目安にしますか?」
- 「Search ConsoleやAnalyticsの管理者権限は、事業所にも共有されますか?」
- 「契約を終了した後も、過去のデータを確認できますか?」
- 「最低契約期間、解約条件、追加費用を教えてください」
- 「検索順位や問い合わせ数を保証する契約ですか。保証の根拠と条件は何ですか?」
提案書では、実施する作業、頻度、担当者、納品物、成果の見方を確認します。「SEO対策一式」「アクセス解析一式」だけでは、契約後に何をしてもらえるか判断できません。
アカウントについても、制作会社だけが管理者にならないよう注意が必要です。事業所のGoogleアカウントを管理者として登録し、外部の担当者へ必要な権限を付与する形にしておくと、管理会社を変更した後もデータを引き継ぎやすくなります。
まとめ
介護事業所のホームページに、最初から高額なSEO対策や詳細なアクセス解析が必須とは限りません。一方で、基本情報を整え、検索上の状態と閲覧後の行動を確認し、必要な改善を続けることには意味があります。
まずは、ホームページの目的を「利用相談」「見学」「採用」「関係者への情報提供」などから具体的に決めましょう。そのうえで、必要な基本情報を整え、Search Consoleやアクセス解析から目的に関係する少数の数字を確認します。
外部へ依頼する場合は、金額だけで比べず、誰に向けて、何を行い、どの数字を見て、どこまで改善してくれるのかを確かめてください。説明できる作業に費用を払い、説明できない「一式」はそのまま契約しないことが、無理のない運用につながります。
参考情報
SEOやアクセス解析の前に、検索とGoogleマップの違い、保守契約に含まれる作業、ホームページに必要な基本情報も確認しておきましょう。
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