介護ホームページの「保守契約」は何のため?月額料金より確かめたい「何をしてくれるか」
介護事業所のホームページ制作・公開後に提案される「保守契約」について解説。置き場所の維持や安全対策、テキスト修正など、月額費用の中に「何をしてくれるか」を確かめるポイントを紹介します。

ホームページが無事に完成してインターネット上に公開される際、制作会社から「公開後は、保守契約として毎月〇〇円かかります」と提案されることが一般的です。
しかし、ホームページの仕組みに詳しくない担当者や管理者にとって、「ホームページはもう完成したはずなのに、なぜ毎月お金を払い続ける必要があるのだろう」「この月額料金で、具体的に何をしてくれるのだろう」と疑問に思うのは当然のことです。
保守契約を確認する際、最も重要なのは「毎月支払う金額が高いか安いか」という費用の比較ではありません。
本当に大切なのは、「その月額料金の中に、具体的に『何をしてくれる作業』が含まれているのか」を明確に確かめることです。
今回は、公開後のホームページ維持でつまずかないために、契約前にすり合わせておきたい保守契約の確認ポイントを中立的に整理します。
介護事業所ホームページ改善シリーズ
第9回では、見積書の段階で「誰が何をするか」という公開前の役割分担を確かめるポイントを整理しました。第10回となる本記事では、ホームページ公開後の長い運用フェーズにおいて、トラブルを防ぎながら安全にサイトを維持するための「保守契約」の見極め方を解説します。
保守契約は「いくらか」よりも「何をしてくれるか」がすべて
ホームページは、パンフレットや看板などの「一度印刷したら変わらないもの」とは異なり、公開した後も常にインターネット上に表示し続け、安全な状態を保つための継続的な維持管理が必要です。
しかし、月々の保守契約の金額だけを見て「安いからここでいいや」「高いから契約しないでおこう」と単純に決めてしまうと、公開後に以下のようなトラブルに繋がることがあります。
- 「安さ」だけで保守を選んだところ、サーバーやドメイン(ホームページの住所)の維持しか含まれておらず、ちょっとした文字の修正や不具合の相談をすると、その都度高い追加費用が発生した。
- ホームページの中身を動かしているシステム(CMSなど)の安全更新(アップデート)が保守に含まれておらず、長年放置した結果、第三者による不正アクセス(サイトの書き換え等)の被害に遭ってしまった。
ホームページの保守契約は、単なる「置き場所の代行費」ではなく、**「公開後に発生する維持・更新作業を、制作会社がどこまで担ってくれるかの約束事」**です。自分たちの知識や業務時間に合わせて、必要なサポートが料金内に含まれているかを確認する必要があります。
一般的な保守契約に含まれる「4つの基本サポート」
制作会社から提案される保守契約には、一般的に以下のような作業が含まれていることが多いです。契約書や提案書を見る際は、これらの項目が明記されているか確認してみましょう。
1. サーバーやドメインの維持管理(ホームページの置き場所の確保)
ホームページをインターネット上に常に表示させるためには、ホームページのデータを置いておく「サーバー」と、インターネット上の住所である「ドメイン」(例: h3incover.com など)の契約を維持し続ける必要があります。
保守契約の中には、これらの年間更新手続きの代行や、利用料金が月額費用に含まれていることが一般的です。
2. セキュリティ対策とシステムの安全更新
ホームページの多くは、自分たちでかんたんに文章を書き換えられる更新システム(CMS)を用いて作られています。このシステムは、スマートフォンのアプリと同様に、安全性を保つために定期的な更新(アップデート)が必要です。 放置すると不正アクセスやウイルス感染のリスクが高まるため、これらの安全確認とシステムの更新作業を制作会社が定期的に代行してくれるかを確認します。
3. ホームページ内の軽微な修正作業
営業時間の変更、新しい利用料金表への差し替え、お知らせの投稿など、公開後も日々の運営の中でちょっとした文字や画像の変更が発生します。 「月に〇回までの軽微なテキスト修正は月額費用内で行う」といった、軽微な修正サポートが含まれている契約であれば、自分たちのパソコン作業に不安がある場合でも、電話やメールで依頼するだけで制作会社が迅速に対応してくれます。
4. 困ったときの相談窓口(サポート体制)
「ホームページが表示されなくなった」「表示が崩れている」「メールの送り方が分からない」といった、運用上の急なトラブルや疑問が発生した際、いつでも相談できる窓口(電話やメール)が用意されているかどうかも保守の重要な役割です。
ここは別料金?「保守契約に含まれない」ことが多い作業
一方で、一般的な月額の保守費用には「含まれない」ことが多く、追加の費用(見積もり)が必要になりがちな作業もあります。
- 新しいページの追加: 「新しく〇〇事業所を開設したので、ページを1枚増やしてほしい」といった追加の制作作業。
- 大幅なデザインのリニューアル: ホームページ全体の見た目をガラリと変えるような作業。
- ウェブ公表義務化に伴う、重要事項説明書などの大量データの差し替え: 例えば、毎年更新される運営規程や料金表のPDFファイルを何十枚もまとめて差し替えるような作業は、制作会社によっては「初期保守の範囲外(都度見積もり)」となる場合があります。
「毎月保守料金を払っているのだから、どんな修正もすべて無料でやってくれるはず」と思い込まず、事前に「どこからが追加料金になるのか」の境界線をクリアにしておくことが大切です。
保守契約を解約すると、ホームページは消えてしまうのか?
「毎月の維持費がもったいないので、保守契約を解約したい」と考えたとき、すぐにホームページが表示されなくなってしまうのでしょうか?
結論から言うと、**「ドメインやサーバー(ホームページの置き場所)の契約」を自分たちで引き継ぐことができれば、ホームページ自体はインターネット上に残し続けることができます。**ただし、セキュリティ対策や万が一の不具合への対応はすべて自己責任となり、システム更新を行わないまま放置すると、将来的に画面が白くなって表示されなくなったり、不正アクセスを受けたりするリスクが高まります。
また、制作会社独自のシステムや作成サービスを使っている契約の場合、解約と同時にホームページのデータそのものが削除されてしまうこともあります。解約して他社へ引っ越すことができるかどうかは、ドメインやサーバーの「契約名義(所有権)」が誰になっているかに深く関係します。この権利関係については、次回の第11回で詳しく解説します。
自分たちの運営体制に合っているか?比較のためのセルフチェック項目
事業所の体制やスタッフのITスキルによって、必要とされる保守契約の中身は異なります。以下のセルフチェックをもとに、自分たちの求める役割に合致しているか確認してみましょう。
- パターンA:自分たちでこまめに更新し、維持管理だけ任せたい場合
- 自分たちで文字や画像を書き換えるスキルがあり、日々の更新は自力で行うため、保守契約には「サーバー・ドメインの維持」と「システムのセキュリティ更新」だけを含めて費用を抑えたい。
- パターンB:更新作業やトラブル対応をすべてお任せしたい場合
- 現場が忙しく、パソコン操作ができる職員も限られているため、月々の料金に「月に数回までの文字修正代行」や「電話でのトラブル相談窓口」が含まれている手厚いサポートプランを選びたい。
どちらが良い・悪いではなく、「自分たちが汗をかく範囲」と「制作会社にお願いする範囲」を照らし合わせて、納得のいくプランを比較・選択することが大切です。
保守契約は、ホームページを安心して運用するためのサポート契約です。
「ただなんとなく支払う固定費」にするのではなく、自分たちの事業所の運営体制やITスキルに合わせて、何をしてくれる作業が含まれているかを制作会社と丁寧に対話し、最適な「公開後のパートナーシップ」を築くことが重要です。
保守契約の後に必ず確認すべき「所有権と権利のルール」
今回整理したポイントは、ホームページ公開後に**「誰が何を担当して維持・更新していくか」**を確認するための基本的な考え方です。
しかし、保守契約を結ぶ際、あるいは長期的なホームページ運営を考える上で、最も将来大きなトラブルに発展しやすいのは、保守契約の月額料金や日々の作業内容ではありません。
実は、ドメイン(住所)やサーバー(置き場所)の**「契約名義が誰になっているか(所有権の問題)」、そして将来、別の制作会社に移行(引越し)しようとした際に、デザインデータを手元に引き渡してもらえるかという「著作権と解約ルール」**です。
これらを曖昧にしたまま契約を進めてしまうと、数年後に保守を解約しようとした際、「ドメインの名義が制作会社になっていて譲渡してもらえない」「解約するとホームページが全て消え、最初から作り直しになる」といったトラブルに直面するリスクがあります。
これらの重大な権利やインフラの実務ルールを一度に理解するのは大変であるため、次回の第11回では「ドメインとサーバーの権利問題(名義の確かめ方)」について、第12回では「著作権と解約時のデータの扱い」について、それぞれテーマを分けて詳しく解説していきます。
まずは今回の内容をもとに、提案されている保守契約の作業項目の中に「何が含まれていて、何が別料金なのか」を、担当者へ質問することから始めてみましょう。
まとめ
ホームページの保守契約は、公開後の安全な運用と、事業所の情報発信を長く支え続けるための大切なサポート契約です。
金額の多寡だけに惑わされることなく、自分たちの現場が「どこまで自力で対応でき、どこからをプロに任せたいのか」を整理し、提案されている作業内容と照らし合わせてみてください。
まずは、提示された保守プランを見ながら「この料金内で、どのような修正作業まで対応していただけますか?」と、制作会社へ確認してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
ホームページの見積書の比較方法や、制作会社選びの基本的な視点については、以下の記事も参考にしてください。
ホームページや情報発信について相談したい方はこちら
H3 Incoverでは、介護事業所向けのホームページ制作のほか、Web制作、情報・導線設計、情報発信に関する各種ご相談やサポートを承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。