介護事業所のホームページは自作?制作会社?3つの作り方を比較
ホームページを新設・見直す介護事業所に向けて、自分で作る、作成サービスを活用する、制作会社に頼むという3つのアプローチを比較。AI活用による自作の現状から、外注時の注意点まで解説します。

前回の記事では、介護事業所のホームページに最低限掲載しておきたい基本情報10項目について整理しました。掲載すべき内容が整理できたら、次に検討するのは「それをどうやって具体的なウェブサイトの形にするか」という制作方法です。
ホームページを作るアプローチには、大きく分けて「自分で作る」「作成サービスやテンプレートを活用する」「専門の制作会社や制作者に依頼する」の3つの選択肢があります。
かつては「ホームページを自分で作る=専門的なプログラミング知識が必須」と捉えられることがありましたが、現在では様々な支援ツールやサービスが登場し、選択肢の幅が広がっています。
今回は、これら3つの作り方の特徴とメリット・デメリット、および選択の基準となる比較軸を整理します。どの方法が一番優れているかではなく、現在の事業所の体制や予算、情報発信に割けるリソースによって適したアプローチを判断する参考にしてください。
ホームページ制作における3つのアプローチ
1. 自分で作る(AI等の補助ツールも活用する)
ここでの「自分で作る」とは、単に専門のプログラミングコードを一から手作業で書き上げる方法だけを指すのではありません。生成AI(文章作成やコード作成の補助ツール)等を活用しながら、事業所の担当者自身の手で構築・公開・管理を行う方法も含みます。
2026年現在、AIを活用することで自作のハードルは以前に比べて下がっています。例えば、以下のような作業をAIにサポートしてもらうことができます。
- ホームページ全体の構成案の作成
- 各ページに掲載する紹介文や案内文の下書き作成
- HTMLやCSSなどの簡易的なマークアップコードの生成補助
- 作成中に発生した不具合や修正方法の相談
メリット:
- 初期費用を抑えやすい: 利用するツールによっては、サーバー代やドメイン代などを中心に、比較的少ない初期費用で始められる場合があります。
- いつでも即座に変更できる: 外部への修正依頼を待たず、自分たちのタイミングで更新しやすい。
注意点:
- 一定の学習時間と管理責任が必要: AIが多くの作業を補助してくれるとはいえ、「ドメインとサーバーの接続設定」「公開後のスマートフォン表示の最適化チェック」「セキュリティやアクセシビリティの考慮」など、最終的な公開設定や管理は人が行う必要があります。
- 情報の正確性の検証: AIが生成した文章に事実と異なる内容や、不自然な表現が含まれていないかを事業所側で厳密に確認する体制が不可欠です。
2. ホームページ作成サービスやテンプレートを活用する
CMS(コンテンツ管理システム)や、あらかじめ用意されたデザインのテンプレートを組み立てていくホームページ作成サービスを利用する方法です。
ドラッグ&ドロップで視覚的に操作できるNoCode(ノーコード)ツールや、介護業界向けのテンプレートがあらかじめ組み込まれたサービスなどがこれに該当します。
メリット:
- 専門知識が少なくても構築しやすい: サーバーの初期設定やドメインの管理が最初からサービスに含まれているケースがあり、管理画面の案内に沿って進めるだけで一定のデザインのホームページを用意できます。
- デザインの手間を減らせる: 既存のテンプレートを利用するため、レイアウトや配色の決定に迷う時間を省けます。
注意点:
- 機能やデザインのカスタマイズ制限: サービスの枠内で作るため、細かなデザインの調整や、特殊なシステムの導入など、独自のカスタマイズを行おうとした際に制限を受けることがあります。
- ランニングコストとサービスの依存性: 月額の利用料金が継続して発生する場合があり、利用しているサービス自体が終了した場合にはホームページの移行や作り直しが必要になる可能性があります。
3. 制作会社や制作者に依頼する(外注する)
Web制作を専門に行う会社や、フリーランスの制作者にオーダーメイドでの制作を依頼する方法です。
メリット:
- 独自のこだわりや使いやすさを実現できる: 事業所の特徴や強みを反映させた自由度の高いデザイン、見やすさ(アクセシビリティ)に配慮した設計が可能です。
- 公開後の安心感と専門知識のサポート: 契約内容によっては、ドメインやサーバーの管理、トラブル対応、公開後の保守運用などのサポートを受けられます。
注意点:
- 初期費用やランニングコストの調整が必要: 依頼する範囲(デザイン、システム、写真撮影、保守など)によって費用が変動します。
- 制作会社とのコミュニケーションコスト: 事業所の特徴や「載せたい情報」を正確に伝えるための打ち合わせ時間や、担当者間の意思疎通が必要です。
3つのアプローチの比較表
各アプローチの特徴を相対的に整理した比較は以下の通りです。
| 比較軸 | 1. 自分で作る(AI活用含む) | 2. 作成サービス・テンプレート | 3. 制作会社・制作者に依頼 |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | サーバー・ドメイン代、利用ツール等の費用 | 無料〜初期設定費用・サービス登録料 | デザイン・構築等にかかる制作費用 |
| 継続費用 | サーバー・ドメイン等の維持実費 | 月額・年額のサービス利用料金 | 保守管理費用(依頼する場合のみ) |
| 制作にかかる手間 | 高い(構築・確認をすべて自力で行う) | 中(テンプレートに沿って入力・配置する) | 低〜中(打ち合わせや素材提供のみ) |
| 自由度 | 高(技術や知識の範囲で柔軟に調整可能) | 中〜低(選んだサービスや仕様に依存する) | 高(依頼内容や予算、制作会社の対応範囲による) |
| 更新のしやすさ | 即時可能(自身で管理) | 管理画面から比較的容易に更新可能 | 依頼して更新(または専用の管理機能による) |
| トラブル対応力 | 自己解決が必要 | サービス提供元のサポート範囲内に依存 | 専門家による対応や保守サポート |
※初期費用や継続費用については、利用するツールやサービス、制作会社へ依頼する範囲やサイトの規模によって大きく変動します。
介護事業所はどれを選ぶべきか?
アプローチを選択する際は、単に「安いから」「楽だから」という基準だけでなく、以下のような事業所内の実務的なリソースを考慮することが大切です。
- 担当者の割ける時間: ホームページの立ち上げや更新作業に時間を割ける職員がいるか。
- 継続的な管理体制: 異動や退職が発生した際にも、ホームページのログイン情報や管理権限を法人内で安全に引き継げる仕組みがあるか。
- 求める品質と信頼性の担保: アクセシビリティ(高齢の利用者や家族にとっての見やすさ)や、公的情報の正確な更新を専門家に委ねる安心感を優先するか、コストパフォーマンスを優先するか。
例えば、「まずは小規模で自ら情報整理を行いたい」「AIなどのツールを使いながら時間をかけてコツコツ構築したい」という場合は、1の自作や、2の作成サービス・テンプレート活用が適していることがあります。
一方で、「日々の事業運営が多忙で、ホームページの構築に十分な時間を割けない」「専門的な観点からセキュリティやアクセシビリティにも配慮したサイトを用意し、運用のサポートも受けたい」という場合は、3の専門家への依頼が適していることがあります。
まとめ
ホームページの作り方は、どれか一つが正解というわけではありません。それぞれのメリット・デメリットを理解し、事業所の状況に合わせて選択することが大切です。
避けたいのは、「立派なものを作ろうとして高額な費用をかけたものの、更新されずに放置されてしまうこと」、あるいは「無理に自作しようとして途中で挫折し、必要な情報が公開されない状態が続いてしまうこと」です。
次回は、シリーズ第8回として、もし「制作会社や専門の制作者に依頼する」ことを選んだ場合、介護事業所の特徴をよく理解した「信頼できる制作パートナーをどのように選ぶべきか」の基準について整理します。
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